はじめに
チョコレート、ケーキ、アイスクリーム、グミ、ジュース……。甘いものっておいしいですよね! でも、「甘いものばかり食べると太るよ」って、お母さんやお父さん、先生に言われたことはありませんか?
「どうして甘いものを食べると太るの?」って不思議に思ったことがある人も多いと思います。今日は、その「なぜ?」を、みんなにわかりやすく説明していきますね。体の中で何が起こっているのか、一緒に見ていきましょう!
1. 「太る」ってどういうこと?
まず、「太る」ということがどういうことなのか、考えてみましょう。
私たちの体は、毎日いろいろなことをしています。走ったり、勉強したり、寝たり。そのすべてに「エネルギー」が必要です。車がガソリンで動くように、私たちの体は「食べ物」をエネルギーにして動いているんです。
ご飯やパン、お肉やお魚、野菜や果物……食べたものは体の中で「エネルギー」に変わります。このエネルギーの量を「カロリー」という単位で測ります。
さて、ここで大事なポイントです!
食べたエネルギーより、使ったエネルギーが少ないとき、余ったエネルギーは「脂肪(しぼう)」として体にたまっていきます。 これが「太る」ということなんです。
逆に、使ったエネルギーの方が多ければ、体にたまった脂肪を使って、体重が減っていきます。
つまり、太るか太らないかは:
- どれだけ食べたか(エネルギーを体に入れたか)
- どれだけ動いたか(エネルギーを使ったか)
この2つのバランスで決まるんですね。
2. 甘いものには何が入っているの?
では、甘いものには何が入っているのでしょうか?
甘いものの正体、それは主に「砂糖(さとう)」です。砂糖は「糖質(とうしつ)」という栄養素の仲間です。
糖質には、いろいろな種類があります:
- ブドウ糖: 一番小さい糖で、体がすぐに使えるエネルギー
- 果糖(かとう): 果物に多く含まれる糖
- ショ糖: 私たちがいつも使う「砂糖」のこと。ブドウ糖と果糖がくっついたもの
お米やパン、麺類にも糖質は入っています。でも、砂糖がたっぷり入った甘いものは、同じ量を食べても、ずっと多くのカロリーを含んでいるんです。
例えば:
- ご飯1杯(150g): 約250カロリー
- ショートケーキ1個: 約350カロリー
- チョコレート1枚(50g): 約280カロリー
ケーキやチョコレートは小さいのに、ご飯よりもカロリーが高いことが多いんですね。しかも、ご飯はお腹いっぱいになるけど、甘いものは「もっと食べたい!」って思っちゃうことが多いです。
3. 体の中で何が起こっているの?
さあ、ここからが本題です。甘いものを食べたとき、体の中で何が起こっているのか見ていきましょう。
ステップ1: 甘いものを食べる
チョコレートを一口食べたとします。口の中で少し溶けて、飲み込むと、胃(い)を通って腸(ちょう)に届きます。
ステップ2: 砂糖が分解される
腸で、砂糖は「ブドウ糖」という小さな形に分解されます。このブドウ糖が血液の中に入っていきます。
ステップ3: 血糖値が上がる
血液の中にブドウ糖が増えると、「血糖値(けっとうち)」が上がります。血糖値というのは、血液の中にどれだけブドウ糖があるかを示す数字です。
甘いものを食べると、この血糖値が急激に、ぐーんと上がります。これが、甘いものを食べたときに「元気になった!」と感じる理由です。
ステップ4: インスリンが出てくる
血糖値が上がると、体は「おっと、血糖値が高すぎる!」と気づきます。そこで、「インスリン」という特別なホルモン(体の中の命令を伝える物質)が出てきます。
インスリンの役割は:
- ブドウ糖を体の細胞に届けて、エネルギーとして使わせる
- 余ったブドウ糖を、肝臓(かんぞう)や筋肉に「グリコーゲン」という形でためる
- それでも余ったブドウ糖を「脂肪」に変えて、体にためる
ここが重要なポイントです!
ステップ5: 脂肪に変わる
インスリンがたくさん出ると、余ったブドウ糖はどんどん脂肪に変えられて、体にたまっていきます。特に、お腹や太もも、お尻などにたまりやすいんです。
甘いものをたくさん食べると、一度にたくさんのブドウ糖が血液に入るので、インスリンもたくさん出て、脂肪もたくさん作られてしまうというわけです。
4. なぜ甘いものは特に太りやすいの?
「でも、ご飯だって糖質なのに、なんで甘いものの方が太りやすいって言われるの?」って思いますよね。
実は、いくつか理由があるんです。
理由1: カロリーが高い
先ほども見たように、甘いものは少しの量でもカロリーが高いです。しかも、甘いものには砂糖だけでなく、バターやクリーム、油なども使われていることが多く、これがさらにカロリーを高くしています。
脂肪(油)は、糖質やタンパク質の2倍以上のカロリーがあるんです!
理由2: 血糖値が急激に上がる
砂糖は、すぐに分解されてブドウ糖になります。だから、甘いものを食べると血糖値が急激に上がるんです。
ご飯やパンも糖質ですが、もっと複雑な形をしているので、分解に時間がかかり、血糖値の上がり方がゆっくりです。
血糖値が急激に上がると:
- インスリンがたくさん出る
- 脂肪がたくさん作られる
- そのあと急激に血糖値が下がって、また甘いものが欲しくなる
という悪い循環(じゅんかん)に入ってしまうんです。
理由3: お腹がすぐ空く
甘いものは、ご飯やパンに比べて、お腹がすぐに空いてしまいます。
なぜかというと、急激に血糖値が上がったあと、インスリンがたくさん出て、今度は血糖値が急激に下がるからです。血糖値が下がると、体は「エネルギーが足りない!」と感じて、「お腹がすいた!」という信号を送ります。
だから、甘いものを食べても、しばらくするとまた何か食べたくなって、結局たくさん食べてしまうんですね。
理由4: 食べ過ぎやすい
甘いものは「別腹(べつばら)」なんて言葉があるように、お腹がいっぱいでも食べられちゃうことがあります。
これは、甘いものを食べると脳の「報酬系(ほうしゅうけい)」という部分が刺激されて、「おいしい! 幸せ! もっと食べたい!」という気持ちになるからです。
ご飯をたくさん食べると「もういいや」って思うのに、甘いものは「もう一個!」ってなりやすいんです。これも、甘いものが太りやすい理由の一つです。
5. 脳と甘いものの不思議な関係
実は、甘いものと脳には、とても深い関係があります。
脳は砂糖が大好き
私たちの脳は、体の中でもとてもたくさんのエネルギーを使う場所です。そして、脳が使えるエネルギーは、ほとんどがブドウ糖だけなんです。
だから、脳は「砂糖=すぐに使えるエネルギー」として、砂糖をとても好むようにできています。
甘いものを食べると幸せな気分になる
甘いものを食べると、脳の中で「ドーパミン」という物質が出ます。ドーパミンは「幸せホルモン」とも呼ばれていて、これが出ると気持ちが良くなります。
だから、甘いものを食べると、おいしいだけでなく、気分も良くなるんですね。
でも、ここに問題があります。脳は「これを食べると幸せになる!」と学習すると、何度もそれを求めるようになります。ゲームやYouTubeがやめられないのと似ていますね。
だから、甘いものを食べる習慣がつくと、「また食べたい!」という気持ちが強くなって、食べ過ぎてしまうことがあるんです。
ストレスと甘いもの
イライラしたり、疲れたりしたときに、無性に甘いものが食べたくなることはありませんか?
これは、ストレスを感じると、脳が「早くエネルギーが欲しい! 気分を良くしたい!」と思って、甘いものを求めるからです。
甘いものを食べると一時的に気分は良くなりますが、食べ過ぎると太ってしまいます。そして、太ると今度はそれがストレスになって、また甘いものを食べてしまう……という悪い循環に入ることがあります。
6. 甘いものと上手に付き合うには?
「じゃあ、甘いものは全部ダメなの?」って思うかもしれませんが、そうではありません!
大事なのは、上手に付き合う方法を知ることです。
その1: 量を決める
一度にたくさん食べるのではなく、少しだけ食べるようにしましょう。
例えば:
- チョコレートなら2〜3かけら
- クッキーなら1〜2枚
- ケーキは半分こ
小さいお皿に盛って食べると、少ない量でも満足しやすいですよ。
その2: 時間を決める
いつでも食べられる状態にしておくと、ついつい手が伸びてしまいます。
「おやつは3時だけ」とか「週末だけ」とか、ルールを決めるといいですね。そうすると、その時間がより特別で楽しみになります!
その3: ゆっくり味わう
急いで食べると、あまり味わえないまま、たくさん食べてしまいます。
ゆっくり、一口一口味わって食べると、少ない量でも満足できます。チョコレートなら、口の中でゆっくり溶かすように食べてみましょう。
その4: 食事の後に食べる
空腹のときに甘いものを食べると、血糖値が急激に上がってしまいます。
ご飯を食べた後なら、血糖値の上がり方がゆるやかになります。だから、甘いものは食後のデザートとして食べるのがおすすめです。
その5: 体を動かす
甘いものを食べたら、その分体を動かしましょう!
外で遊んだり、スポーツをしたり、散歩をしたり。体を動かすと、エネルギーが消費されて、脂肪として体にたまりにくくなります。
その6: 他の楽しみを見つける
「甘いものを食べる」以外にも、楽しいことや幸せを感じることはたくさんあります。
友達と遊んだり、本を読んだり、絵を描いたり、音楽を聴いたり。いろいろな楽しみを持つと、甘いものだけに頼らなくても、楽しく過ごせます。
7. どんな甘いものを選べばいい?
すべての甘いものが同じというわけではありません。選び方を工夫することもできます。
果物を選ぶ
果物には果糖という糖が含まれていますが、同時に食物繊維(しょくもつせんい)やビタミンも含まれています。
食物繊維は、糖の吸収をゆっくりにしてくれるので、血糖値が急激に上がりにくいんです。それに、果物は自然の甘さで、お菓子よりもカロリーが低いことが多いです。
リンゴ、ミカン、イチゴ、ブドウ……季節の果物を楽しむのはいいですね!
和菓子を選ぶ
洋菓子(ケーキやクッキー)には、砂糖だけでなく、バターやクリームなどの脂肪もたくさん入っています。
和菓子(大福やまんじゅう)は、脂肪が少ないものが多いので、同じ甘いものでも、和菓子の方が太りにくいことがあります。
ダークチョコレートを選ぶ
チョコレートが好きなら、ミルクチョコレートよりも、カカオの割合が高いダークチョコレートを選んでみましょう。
カカオが多いチョコレートは砂糖が少なく、苦みもあるので、少しの量で満足しやすいです。それに、カカオには体にいい成分も入っています。
手作りする
お母さんやお父さんと一緒に、甘いものを手作りするのもいいですね。
自分で作ると、どれだけ砂糖を使っているかわかりますし、砂糖の量を減らしたり、果物や蜂蜜(はちみつ)を使ったりして、工夫することができます。
作る過程も楽しいですし、手間をかけた分、大切に味わって食べるようになります。
8. 体にとって大事なバランス
最後に、一番大事なことをお伝えします。
すべてはバランス
甘いものは太る原因になりますが、絶対に食べてはいけないわけではありません。
大事なのは「バランス」です。
- いろいろな食べ物をバランスよく食べる
- 甘いものは適度な量を楽しむ
- 体をよく動かす
- よく寝る
この4つができていれば、時々甘いものを楽しんでも大丈夫です!
食べ物は楽しみの一つ
食べることは、生きていくために必要なだけでなく、人生の楽しみの一つでもあります。
誕生日のケーキ、お祭りの綿あめ、遠足のお菓子……そういう特別な時の甘いものは、楽しい思い出とセットになっています。
「絶対ダメ!」と我慢しすぎるのもよくありません。ストレスがたまって、逆に後で食べ過ぎてしまうこともあります。
だから、「普段は控えめにして、特別な時には楽しむ」という付き合い方がいいんです。
自分の体を大切に
みんなの体は、これからもっともっと成長していきます。そのためには、いろいろな栄養が必要です。
ご飯やパン(エネルギー源)、お肉やお魚や豆(体を作るタンパク質)、野菜(ビタミンやミネラル)……バランスよく食べることが、健康な体を作ります。
甘いものばかり食べていると、太るだけでなく、大事な栄養が足りなくなってしまいます。虫歯になりやすくもなります。
自分の体を大切にして、今だけでなく、将来も元気でいられるように、今から良い習慣を作っていきましょう!
まとめ
さあ、これで「甘いものを食べるとなぜ太るのか」のなぞが解けましたね!
おさらいすると:
- 太るとは: 食べたエネルギーより使ったエネルギーが少ないときに起こる
- 甘いものの正体: 主に砂糖で、カロリーが高い
- 体の中では: 砂糖がブドウ糖になり、血糖値が上がり、インスリンが出て、余った分が脂肪に変わる
- 特に太りやすい理由: カロリーが高い、血糖値が急上昇する、すぐお腹が空く、食べ過ぎやすい
- 脳との関係: 甘いものは脳を幸せにするので、また欲しくなる
- 上手に付き合う方法: 量と時間を決める、ゆっくり味わう、体を動かす
甘いものは、人生の楽しみの一つです。完全に避ける必要はありません。でも、その特徴を知って、上手に付き合っていくことが大切なんですね。
みんなも、おいしく、楽しく、そして健康に、甘いものと付き合っていってください!
体のことを知ることは、自分を大切にすることの第一歩です。これからも、いろいろなことに「なぜ?」と疑問を持って、学んでいってくださいね!

